ドーナツの穴だけ残して食べると何が残るか
ドーナツの穴問題
ドーナツには穴がある。これはみんな納得することだと思う。
ドーナツは、卵、小麦粉、油、砂糖などを原材料として作られている。
では、ドーナツの穴を食べないように、注意深く、卵、小麦粉、油、砂糖で出来たドーナツの周辺のみ食べたら、そこにはドーナツの穴のみ残るのだろうか?
穴がある、とは一体何なのか。無いものがあるのか。
「ある」とは
私たちは普段、まさに存在するものについて「ある」と言っているように見えるが、ドーナツの穴のように、無いものも「ある」と言っている。
「ある」とは一体どういった事を指すのか。無があるとはいったい何なのか。
差異のシステム
職場でドーナツの穴問題を話題にした所、哲学科出身の人から、そのような問題は古典的な存在論では説明することは難しいが、ソシュールの差異のシステムで説明できると言っていた。これは関係ない話だが、職場のミーティングでドーナツの穴だけ残して食べるとどうなるかが議題に上り、業務内容そっちのけでその日一番の大盛り上がりをした(業務内容の議題は別にちゃんと行った)。
差異のシステムとは、すなわち、物事の差異を我々人間が認識できる(機能的または文化的に)からこそ、それを表す言葉があるという事である。例えば、フランスでは「蝶」と「蛾」を区別する文化がないため、両方共「パピヨン」と読んでいるが、日本では、その差を認識できるため違う言葉を用いている。
差異のシステムによると、穴がある状態と無い状態を、私たちが認識できるため、それを表現する「穴」という言葉を利用していることになる。
穴の哲学
このドーナツの穴問題は、「哲学がわかる 形而上学」という本に少し触れられていたのだが、「ドーナツの穴だけ残して食べる方法」という本もあると紹介された。こちらの本はまだ読んでいないので、今度読んでみたいと思う。
哲学がわかる 形而上学 (A VERY SHORT INTRODUCTION)
- 作者: スティーヴン・マンフォード,秋葉剛史,北村直彰
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2017/12/15
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ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義
- 作者: 大阪大学ショセキカプロジェクト
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