前期の講義をやり遂げた

2019年の前期は数学の講義を担当することになって、えらい大変だった。特に自分は数学が専門じゃなくて、大学の数学の講義を受けた経験があまりないため、どう教えたものかとたいへん迷った。一応、数学自体は独学で勉強していたため何とかなったとは思いたいのだが、さすがに本職の先生には及ばないところもあるだろう。

講義内容的には計算の理論なのだが、せっかくだから、大阪大学の他の講義ではやっていないような面白い内容をやろうと思い、不完全性定理と型システムをやったが、これは本当に大変すぎた。おかげで、土日や帰ったあとからも講義資料の作成をしていたし、数学の証明だけではなくて、プログラミング課題の実装もしていたので時間がどれだけあってもたりなかった。大学はレジャーランドなので土日祝日もなくて大変である。レジャーランドに休園日はないのだ。

現在、講義の最終課題として単純型付きλ計算型推論エンジンの実装に取り組んでもらっている。講義で得た数学の証明論の知識を、実際のプログラミングにまで活かせるので、大変ではあるがかなりの実力がつくのではないかと思う。

後期も講義をいくつか担当するので、また考えないと行けない。今の所、CPUキャッシュコヒーレンスや分散ハッシュテーブルのアルゴリズムを形式検証する講義と、パケットキャプチャを行い、自前で実装してもらった正規表現エンジンでフィルタリングする講義のようなものにしようかと思っているが、まだまだ未定である。前期の講義では、ネットワーク、プログラミング言語理論、数学基礎論、計算理論を行ったので、後期ではCPU、OS、システムプログラミング、分散コンピューティング、モデル検査、形式手法あたりを絡めて教えていきたい。しかし、分野が広すぎる。