SFはいいぞ

最近、プログラミング系の本しか読んでおらず、少し息を抜きたいと思いSF本を買って読んだりしていた。SF本と言っても、気軽に読める短編集である。SF短編集といえば、小学生の頃に星新一をよく読んでいたのを思い出すが、今回読んだのは複数著者の作品が収録されているため、アンソロジーというやつになる。最近はこのアンソロジー本が結構あるようでありがたい。読んだ本は、「日本SFの臨界点 怪奇篇 ちまみれ家族」と「ベストSF2020」である。

 日本SFの臨界点 怪奇篇 ちまみれ家族

 「日本SFの臨界点 怪奇篇 ちまみれ家族」で個人的に特に気に入ったのは、中島らもの「DECO-CHIN」と、山本弘の「怪奇フラクタル男」である。DECO-CHINは幸福とは何かという普遍的でよくあるテーマが題材だと思うが、オチが飛び抜け過ぎていて呆気に取られてしまった。最後にタイトルの伏線を回収するのだが、まさかまさかの回収の仕方であった。怪奇フラクタル男はフラクタルを題材にした話で、これもまた突拍子のない発想で、どうやったらこんな話が思い浮かぶのかと、あまりに驚いた。

フラクタルというと中学生ごろにフラクタルに興味を持って色々調べていたのだけれど、その頃専門書を買って読んでも全然理解できなかった。中学生の自分にはハウスドルフ次元は難しすぎた。その後、高専に入ってプログラミングが出来るようになってマンデルブロ集合やらを描画していたのを思い出す。最近もRaspberry Piマンデルブロ集合を描画していたため、技術は一度身につけると色々と役に立つもんだなぁと思う。

他の話も普通に面白いのだけれど、この2作はぶっ飛び方が凄くて衝撃だった。息抜きで読んだけれど、やっぱりSFは面白いなあと再確認。

 ベストSF2020

べストSF2020 (竹書房文庫)

べストSF2020 (竹書房文庫)

  • 発売日: 2020/07/30
  • メディア: 文庫
 

  「ベストSF2020」で個人的に特に気に入ったのは、草上仁の「トビンメの木陰」、草野原々の「断φ圧縮」である。ドビンメの木陰は最後あたりまではわりと普通かなと読んでいたんだけれど、最後の落ちあたりがとても綺麗に纏まっていて大変感心した。手法としてはオーソドックスなのかもしれないけれど、こうきたかぁ。うまいなぁ。と夜布団の中で読みながらしきりにうなづいていた。断φ圧縮は怪奇フラクタル男に通じるところがあるような気もするが、こちらはフラクタルではなくカルノーサイクルが題材である。

カルノーサイクルは熱サイクルで、断熱圧縮、等温膨張、断熱膨張、等温圧縮を繰り返すサイクルである。熱機関やエンジンは高専の当時に必修科目であったのだが、全く興味が持てなかったため現在でも理解が曖昧で、作品を120%楽しめなかった。悔しい。フラクタルは必修どころか選択でもなんでもなかったがよく覚えているのに。将来SFを楽しむために、ちゃんと勉強はしておくもんである。

というわけで、2冊を読んだが存外に面白かったので、これからも定期的に買って読もうかなと思った次第です。それでは、皆さん良いSFライフを。